砂防ダムは土石流など大量の土砂が一度に流出したときに、一時的に土砂を堆積させ、その後の出水により徐々に流下させるはたらきをもっており、砂防施設では最も基本的なものです。高さ5m以上の大型のものが多く、完成まで数年がかりの工事になるのがふつうです。
 砂防ダムは完成後しばらくの間で土砂でいっぱいになりますが、その後の洪水毎にあふれた土砂は少しずつ下流に送り出されるため、急激な土砂の流出が抑えられ下流の大被害を未然に防ぐことになります。また砂防ダムができると河床が上がって勾配が緩くなるため、侵食作用が衰え両岸の崩壊が少なくなるなどの効果もあります。
 


●砂防ダム ●砂防ダムの機能
 

 
流路工(りゅうろこう)
 
 急流河川では川底や川岸が侵食されて、その土砂が下流に流出し、氾濫・決壊することがあるので、侵食を防止し流路を安定させるため、流路工が施されます。特に河床勾配の強い急流部には床固工が階段状に施されています。
 


●床固工(とこがためこう)
 

 
導流堤(どうりゅうてい)
 
 川筋からあふれた土石流を砂防ダムのある川筋に導くための堤防で、多枝原平では鳶山崩壊地から流下する土石流を安全に導くため、総延長1.8kmにわたる大導流堤が築かれています。
 


●泥谷導流護岸堤
 

 
山腹工(さんぷくこう)
 
 山腹の崩壊箇所で崩壊の進行を抑えるために行われる工事で、荒れた斜面を整え植物の種をまいたり、苗木を植えて緑化が図られています。土砂が川に流れ出るのを未然に防ぐ砂防工事です。立山カルデラでは六九谷や、泥谷、水谷平などで代表的な山腹工が見られます。
 


●六九谷山腹工
   

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