星稜写真という新しいジャンル、特に剱岳を主題のひとつとして捉えた星剱写真ともいうべき写真展で多くの人々を魅了しました。44点の作品には剱岳の様々な表情と星空の円舞が華麗に写し出されています。昼間と見紛うほどの色彩豊か、かつ陰影の際だった美しくも険しい山陵と、いまにも降ってきそうな無数の星の輝きに自然が生み出した無作為な美の極みを感じました。
　 しかしそれは写真家中川達夫氏の巧みな演出によって地平線という垣根が取り払われ、天と地を一体化させ人間の美意識という琴線に触れた一瞬を切り取った会心の芸術作品でもありました。眼前の山頂とそれに続く彼方の星を想う冒険心や探求心に境界がないことを登山前に訪れた観覧者の多くが感じ取ったことでしょう。
　 写真展は好評により期間を延長し、延べ24,384人の方々に観覧いただきました。